ものづくり体験とお仕事のつながり
教えてマイスター!ものづくり体験@京都では、
いろいろなものづくりのお仕事のプロであるものづくりマイスターや技能士の人たちにものづくり体験を通してお仕事につながる技能を教えてもらいます。
みなさんも「ものづくり体験」をしながら、それがどんな仕事につながるのか見てみましょう!
「ものづくりマイスター」って、なぁに?
「マイスター(Meister)」とは、ドイツ語で『巨匠』や『名人』を意味します。さまざまなものづくりの分野で優れた技能、経験を持つ人を国の機関である厚生労働省が「ものづくりマイスター」として認定し、学校の生徒や子どもたちにものづくりの楽しさや素晴らしさを体験してもらったり、会社の若い技能者には実技指導をしたりします。
平成25年度に始まり、これまで全国で14,458名(令和3年度時点)のものづくりマイスターが認定され、多くの若者への指導を行ってきました。
「技能士」って、なぁに?
さまざまな職種での技能を持つ技能者が国家資格である「技能検定」の試験に合格すると合格証書が交付され、「技能士」を名乗ることができます。
建築大工や機械加工など、令和5年時点で131職種の資格があり、多くの技能士さんが誇りをもって活躍しています。
「ミニ畳」は畳をつくる仕事につながるよ
本当の畳は、稲藁を重ねて圧縮した畳床に、天然のイ草でつくられた畳表をかぶせ、両はしに色とりどりの畳縁を縫いつけてつくりあげます。畳一枚をきれいに仕上げるのも大変ですが、家の床ってちょっとゆがんでいたり柱が出っ張っていたりしていて、そんな決してまっすぐじゃないところに何枚もの畳をきっちりと敷き詰めるのはとても難しいことです。
京都では「有職畳」と呼ばれる神社仏閣やお公家様向けの格式高い畳を数多く手がけるなど、古くから高い技能を持った職人さんたちが京畳の文化を支えてきました。近年畳の部屋も少なくなるなか、わが国固有の伝統文化でもある「畳」と畳をつくる「技能」を守るべく、畳職人さんたちは日々活動しておられます。
体験では、本物のイ草で作った畳表と畳縁を使って、だれにでも簡単にできる方法でミニ畳をつくります。やさしい手ざわりとイ草の香を楽しんでみましょう。
「銅板レリーフづくり」は建築板金の仕事につながるよ
レリーフは平面を浮き立たせるように彫りこむ、もしくは平面上に形を盛りあげるように肉づけしてつくるもので、昔より芸術品のほか、家具や建築物の外装・装飾に用いられてきました。また、金属の「銅」は日本では非常に耐久性の高い屋根材として重宝され、寺社仏閣の屋根に使われています。
建築板金はうまく水を排水できるように金属材を屋根や樋などに加工して取り付ける事で台風や雨漏りから家を守る仕事です。そこで扱う代表的な金属の一つである「銅」の板を使い、その上に傷をつけて線を描く「けがき(罫書)」を行う事で加工・製作するレリーフづくりは金属加工を行う建築板金の仕事につながっています。
体験では、、いろいろな種類の下絵から好きなものを選び、へらとボールペンを使って銅板でレリーフをつくります。簡単なようで、きれいに仕上げるにはコツがいりますので、マイスターに教えてもらいながら、あじわいのあるレリーフをつくってみましょう。
「タイル張りコースター」はタイル張りの仕事につながるよ
タイルの歴史はとても古く、レンガが発展してできたものと言われます。外壁に整然とタイル張りされた建物はとても美しく、風情のある街並みをつくります。またタイルは風雨にも強く、建物を長持ちさせます。外側だけでなく家のなかの壁や床、お風呂などの水周りにも使われ、モザイクタイルできれいな模様や絵が描かれることもあります。
そんなアート的な感覚も必要となるタイル張りの仕事は、とても魅力的ですね。ただ、丈夫に施工するためには高い技能が必要で、職人さんたちは日々切磋琢磨しておられます。
体験では、たくさんの種類のモザイクタイルから好きなものを選び、自由な発想で枠のなかに並べて、自分だけのオリジナルコースターをつくります。ただ、あまり考えると手が止まってしまうので、直感を大切に手早く仕上げてみましょう。
「フラワーアレンジメント」はフラワー装飾の仕事につながるよ
フラワー装飾の技能士さんの仕事は、花束やブーケ、コサージなど、おなじみの花屋さんの仕事だけではなく、ウィンドウディスプレーやイベント会場での大がかりな装飾など、生花を使った様々な演出も大切な仕事になります。催しなどの企画や趣旨を十分に理解し、お客様の希望にあったフラワー装飾の提案をしていくというのが、フラワー装飾技能士の腕の見せ所です。つまり「華やかな空間を創る」という重要な役目を担っておられます。
体験では、生きた花と器を使ってフラワーアレンジメントにチャレンジしてもらいます。技能士さんはプロですから、花束でもアレンジメントでも手早く仕上げることができます。初めてでも楽しめますので、ぜひ挑戦して自分なりの作品をつくってみましょう。持ち帰るとすぐにお部屋に飾ることができるので、プレゼントとしても喜ばれます。
「小物入れ」は室内装飾の仕事につながるよ
この仕事は「内装仕上げ」とも呼ばれ、家やマンション、高層ビルといった建物の中身を装飾するプロの技です。壁紙を貼ったり床にカーペットやプラスチック系の床材を施工したり、天井にもクロスなどを貼ったりします。材料は日々進化していて、防火性能が高いもの、防音・断熱、抗菌や防カビにすぐれたもの、調湿といって部屋の湿度をちょうどよくしてくれるものなど、様々な素材に対応しなければなりません。またスピードも求められるので、職人さんたちは常に速く、確実に仕上げることを考えながら、仕事を進めていきます。
体験では、実際のカーペット生地を使って専用の道具で加工しながら「小物入れ」を形にしていきます。色の組み合わせは自由なので、思い通りに、しかも安全・確実に仕上げてみましょう。
「光るどろだんご」や「壁土を使った塗り絵」は左官の仕事につながるよ
左官の道具といえば、鏝です。壁や床、天井など、建物の面という面に鏝を使って漆喰などを塗り重ね、しっかりと仕上げていきます。一口に鏝といっても、先が尖っていたり四角だったり丸まっていたり、大小サイズもさまざまで、塗る材料によっても種類が分かれます。なにより左官さんの鏝さばきでいろいろな模様をつけることもでき、建物に合ったデザインを提案するなど、まさにその腕であらゆる注文に対応していくのがこの仕事です。
「光るどろだんご」は土でつくっただんごに好きな色の漆喰を塗って、びんの口などで磨き固めていきます。すると本当にぴかぴかに光ります。塗り壁を均一に仕上げていく左官の仕事を想像しながら体験してみましょう。「壁土を使った塗り絵」では、左官の仕事のなかでも意匠的な部分(デザイン・色使い)を体験できます。鏝で複雑な絵や柄をつくるかわりに、型紙を使用し、小さな鏝で好きな色の材料を塗りこみながら、完成度の高い作品をつくってみましょう。色彩感覚とアイデアが命です。
「篆刻」は印章づくりの仕事につながるよ
はんこ本体のことを「印章」といいます。その印章に朱肉をつけて紙に押し、残った跡は「印影」といいます。印章の材料も柘などの木材や水牛の角、象牙、石材などといったぐあいに実に様々なものがあり、印材の硬さに合わせていろいろな印刃を使い、文字を彫り上げていきます。
文字の書体は実印で多く使われる篆書体のほか、楷書体、行書体、草書体、隷書体と様々な種類があります。ただ、同じ字を同じ書体でつくったとしても、プロの人が彫ることでその印章は世界で唯一のものになります。また手彫りの印影はとても美しく、なかでもここ京都で伝統的につくられてきた印章は「京印章」として広く親しまれています。
体験では、材料に石を使ってマイスターに手書きしてもらった字を彫っていきます。小さいお子様には難しいかもしれませんが、安全に気を使いながら自分だけの印章をつくってみましょう。
「和菓子づくり」は和菓子製造の仕事につながるよ
和菓子のルーツは縄文時代までさかのぼり、木の実や果物を間食として食べたのが始まりとされます。その後唐菓子(からくだもの)や茶の湯文化の点心、南蛮菓子の時代を経て、江戸時代には京菓子と競うように武士や庶民の間で江戸の上菓子が流行し、大きく発展しました。
お饅頭やさくら餅、どら焼きに最中に羊羹、みたらし団子……。みなさんはいくつ思いつくでしょうか? 和菓子には実にたくさんの種類があります。それぞれの由来に思いをはせながら味わうのでないと、ただ食べるだけではもったいないですね。
体験では、「練りきり」という上生菓子の素材を使って季節感のある和菓子をつくります。一生懸命つくると、少々不揃いでもあじわいのあるいい出来栄えになると思います。
「本立・踏み台・万能イスづくり」は建築大工の仕事につながるよ
大工さんの主な仕事は木造で家をつくることです。木材を切ったり削ったりつなぎ合わせたりといった加工法には日本古来の伝統技術がふんだんに詰まっています。また建築には内外装をはじめ電気・水道工事といった様々な分野の職人さんが関わりますが、大工の棟梁(親方)ともなると、そのほとんどを監督する役割も必要になります。
大工さんはかつて子どもたちがなりたい職業のトップ10に必ず入っているくらい人気がありました。トンカチやのこぎりのほか、木の表面を削る「かんな」やホゾを彫ったりする「のみ」、様々な寸法を測る「さしがね」など、たくさんの道具を使いこなして仕事をするところはかっこいいですね。
本当は釘を使わないで木と木をホゾでつなぐほうが頑丈です。ただそれはとても難しいので、体験では釘を使います。道具を使うのはコツがいりますが、マイスターに教えてもらいながら楽しくつくってみましょう。